今年の学校のテーマは “We are a family” です。「私達は家族」 . . . どうして?ここに一つに集まっているから . . . 確かに。でも仲良しが何人か集まったら「仲間」はできるでしょうが「家族」にはなりません。「家族」とは基本的に血の繋がった親子関係を示します。私たちはいわゆる「親子」でも「兄弟」でもありません。
  

でもサレジオ学院だけでなく世界のサレジオの学校の生徒に向かってサレジオ会の総長であるフェルナンデス神父様は「私たちは家族だ」とはっきりおっしゃり「家族の絆」を強めようと呼びかけています。

  
なぜでしょうか?この ”We are a family” は「私たちには共通の父親がいる」ということを意識させてくれます。それがドンボスコです。世界中のサレジオの学校には父ドンボスコがいます。

  
もう少し目を広げてみましょう。全人類は?サレジオの学校だけでなく人類全体も「家族」です。それは人類には時代と場所を超えて一人のお父さん、神様がいるからです。
  

「主の祈り」の冒頭をもう一回頭に浮かべてください。「主の祈り」は「天におられる私たちの父よ」で始まります。皆さんも知っているとおりイエス様が「このように祈りなさい」と弟子たちに教えた祈り、それが「主の祈り」です。以来教会は2000年間この祈りを唱え、神様をお父さんと呼んできました。

  
普段は日本語で唱えていますが、英語バージョンを紹介しましょう。
  
Our Father in heaven,
hallowed be your name,
your kingdom come,
your will be done,
on earth as in heaven.
  
やっぱり神様は “father” と呼びかけられています。しかも “my father” でなく “our father” です。つまり「私たちは一人のお父さんである神様のもとに集められている家族」と言えますね。

  
さらにもう一点、Your 「あなたの」という言葉に注目して下さい。「主の祈り」の中で神様は2人称です。この祈りは直接「天のお父さん」である神様に向けられている祈りなのです。日本語だと分からないですが、英語で唱えるとより神様が近く感じられませんか。

  
さてスペイン語ではこうなります。
  
Padre nuestro, que estás en el cielo,
santificado sea tu Nombre;
venga a nosotros tu reino;
hágase tu voluntad en la tierra como en el cielo.
  
スペイン語では “tu” を使っています。 Tu は親しい人に対して呼びかける言葉です。敬語のUstedという言葉ではないことに注目してください。スペイン語で唱えると私たちは神様に対して2人称で直接呼びかけ、しかも「お父ちゃん」というように親しみのこもった近い存在としての神様をイメージすることができます。

  
次回「主の祈り」を唱える時には日本語では隠れてしまっているこのようなニュアンスも少し味わってくださいね。