明日6月29日は、原始教会の礎としてその生涯をささげた使徒、聖ペトロと聖パウロの祭日です。この二人の宣教活動は、最初から最後まで困難の連続でした。それでも彼らは、使徒としての自分の召命に忠実であり続けました。このお陰で、今日のサレジオ学院があると言っても良いでしょう。これは、巧みな戦略の成果というより、神への信頼が道を開いた結果です。

 

さて、夏休みを前にさまざまな活動が本格化し、その先にはサレジオ祭という大きなイベントが待ち受けています。このような困難に立ち向かおうとするとき、つい人間的な作戦や努力だけに頼ってしまいがちです。しかし、結果に執着しすぎると、うまくいかなかったときに、必要以上に落ち込んだり、努力した分だけ他人を責めたり、といったネガティブな行動をとってしまいがちです。「結果だけがすべてではない」――そんな当たり前のことすら忘れてしまう。本当の自分を開花させるためには「結果を神に委ねる」という姿勢が大切です。

 
これは、受験にも応用できます。闇雲に結果を追求するのではなく、自分の召命=本当に進むべき道を見据え、それに向けた努力を重ねると、結果に意味が宿ります。逆に、これを見失うと、どんな巧みな戦略を立てても、心の平安は約束されません。

 

失敗とは何でしょうか?人のせいにして、自分の選択肢を失うこと。努力そのものを否定してしまうこと。あるいは、結果を出す前に諦めてしまうこと――。しかし、もしあなたが「もう一度挑戦してみよう」と決意するなら、失敗はほんの一時的なもの、通過点に過ぎません。神に信頼する人の中で、希望は何度でも息を吹き返すのです。

 

 

Pope Peter by Rubens
ルーベンス「聖ペトロ」

 

Saint Paul - Ananias Restores His Sight

ピエトロ・ダ・コルトーナ「パウロの回心」