自分を食べさせ人を救う優しいヒーロー:アンパンマンとイエス様
みなさん、小学生の頃、アンパンマンを見ていましたか?僕は今NHKの朝ドラ『あんぱん』にハマっているので今日はあらためてアンパンマンについてお話ししたいと思います。
アンパンマンは、作者やなせたかしさんの戦争体験から生まれたキャラクターです。やなせさんは兵士として戦地に招集され、また家族や親しい人々が傷つき、命を落としていく姿を目の当たりにしました。ところが戦後、軍国主義が一夜にして覆され、それまでとは正反対の正義や価値観がもてはやされることになり深い衝撃を受けました。
そんな混乱の中で、やなせさんは「どんな時でも変わらない普遍の正義とは何か」を自問自答し続けました。そしてたどり着いた結論が「無償で人を助ける優しさ」、「飢えた人を助けるために自分を与えること」だったのです。アンパンマンはこの価値観を体現している存在なのです。
ところで、「自分を食べさせて人を助ける」という姿勢、アンパンマン以外にどこかで聞いたことがありませんか?そうです、イエス様です。最後の晩餐のとき、イエス様は弟子たちにパンを授け、「これを取って食べなさい。これは私の体です」と言われました。教会は2000年間このイエス様の言葉を繰り返してきました。これがミサです。
イエス様が人々のために命を捧げたこと、それを聖体は表しています。ミサの中で教会はイエス様の体であるパンをいただくことで養われ、イエス様の生き方に従うように力を与えられるのです。
やなせたかしさんがアンパンマンを生み出したとき、キリスト教からヒントを得ていたのかどうか、それは分かりません。けれども、もしやなせさんがキリスト教とは別の視点から同じ結論に至ったのだとすれば、それは「人のために自分を捧げること」が宗教や文化を超えた普遍的な意義を持つことの証ではないかと私は思います。