「汝自身を知れ」。ソクラテスの言葉ですが、もともとはギリシャのデルフォイ神殿の正面の額に刻まれていた言葉です。この言葉をソクラテスは座右の銘にして、よく使っていました。

 

フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユは、皆さんと同じ年頃の子供たちに、次のように解説しています。

 

「自分を知ることはとても大切なことですが、自分を変えるためとか、正すことの手段として用いるのではなく、自分を知ること自体が目的です。自分に何が出来るのかを分かるために、または自分を何かに役立てることを知るためにも、自分を知ろうとしたのです。」

ソクラテスは他者を知ることや事物を知ることよりも、自分自身の方が馴染み深いだろうということで、哲学を始める入り口として、「汝自身を知れ」を推奨していました。

 

『幸福論』で知られたフランスの哲学者アランは、この言葉を引用して、「人間は自分以外には敵はほとんどいないものです。最大の敵は常に自分自身です。

判断を誤ったり、無駄な心配をしたり、絶望したり、それこそが敵になるのです。だから、『あなたの運命は、あなた次第である』」と言い残しています。

 

日本への海外宣教団の団長だったチマッティ神父も同じような意味で使っており、これを姉妹校の校訓にしています。「己を知り、己に克て」と。