最近になって「抗原原罪」と呼ばれる現象を知りました。抗原原罪とは、人の免疫系が最初に出会った病原体への抗体モデル(成功例)に縛られ、新たな抗体を作ろうとせず、その結果変異株などに対応できない現象を指します。なぜ人祖にまつわる「原罪」と名付けられたのかは知りませんが、この現象がワクチン開発者にとって悩みの種となっているそうです。 

 

免疫システムに関わらず、人間というものは成功体験に縛られやすいものです。特に、日本の教育システムでは、成功体験に縛られやすい人間形成が為されていています。正解が見つからない時には不安になり、反対に正解を提示されると安心してその解が本当に正しいか検証せず、またそれに優る解がないかどうかを探求しようとしない…といった若者が量産されています。 

 

さて、サレジオ祭、お疲れさまでした。厳しい限られた条件の中で、様々な困難とそれを乗り越える経験は、きっと皆さんの宝になるでしょう。ただし、一方では「成功原罪」とでも呼べる(何と適当なネーミング!)鎖が纏わり付いたかも知れません。

 

皆さんを縛ろうとするこの鎖を解き放つためには「なぜ、成功したのか?」を、微に入り細を穿(うが)つて検証し、それを後輩に継承していく必要があります。

 

背中を見せるだけで人が育つとは思わないでください。