今日はお祈りは少し後にして、話から入ります。
 
先日の全校集会では「主の祈り」の言葉から「天におられるお父さんである神様」のもと人類全体、私たち一人一人は互いに兄弟姉妹であり、一つの家族だという話をしました。
   
「家族」という言葉を聞くとまず自分の家の家族の方を頭に浮かべるでしょう。そこから自分を同心円の中心に置いてその円を広げてみましょう。そこにいるのは学校でのクラスメート、部活や体育祭、サレジオ祭での仲間、先輩後輩といった家族、そして先生や職員の方々を含めたサレジアンファミリー、そしてさらにフィリピン、オーストラリアのドンボスコの学校の兄弟校の生徒たち、これもサレジアンファミリーですね。
  
昨年の学校全体のテーマ「見えないものに心を向けよう」というテーマの延長になるかと思いますが、もう少し自分を中心に置いて360度視界を広げて日常の風景からさらに遠くに広げ、日本全体、そして世界を見てみましょう。
  
日本では福岡、大分県の方々が今回の集中豪雨で被災されました。命を失った方、まだ行方不明の方、愛する家族を失った方、家や思い出を一瞬のうちに失った方、色々な被害を被った方々がいらっしゃいます。これからはライフラインの普及などの復旧活動が本格的に始まることと思います。皆さんの中にももしかしたら親戚の方、知り合いの方で今回の災害で被害を受けられた方がいらっしゃるかもしれません。まずは祈りを通して思いをはせるようにいたしましょう。
  
それでは主の祈りを唱えましょう。
  
(主の祈り)
  
日本からさらに少し視野を広げてみましょう。3階エレベーター前の掲示板に南スーダンで活動しているイエスのカリタス修道女会の担当のシスターから礼状が届いたので掲示しています。サレジオ学院ではこの数年クリスマス街頭募金やその他の機会にシスターたちの活動を援助してきました。
  
また朝日新聞の「ひと」という欄に現地で貧しい子供達のために尽力している下崎シスターのことが取り上げられているのでこれも掲示しています。内戦の混乱の中一般市民が日常的に命の危険にさらされていることは報道等で皆さんも知っていることと思います。2年前の慰霊祭の折に下崎シスターを本校にお招きして南スーダンの現状をお話いただきました。シスターは「もし生きていたらまた皆さんとお会いしましょう」と最後におっしゃていました。
  
日本とは全く違ってそこでは「死」というものが隣り合わせにある現状に衝撃を受けました。今回の記事でもシスターは「逃げずに一緒にいること。それが私にできるすべてでした」とインタビューに答えていらっしゃいます。2年たっても南スーダンの状況はあまり改善されず、またシスターたちも命の危険と隣り合わせの毎日を送っているわけです。
  
南スーダンで活動をしている下崎シスターたちは私たちのファミリーメンバーであり、下崎シスターたちが援助している学校の生徒たちは私たちにとって「同じドンボスコの学校の生徒、兄弟姉妹」なのです。少し私たちの心の一部を空っぽにして彼らへの思いでそれを満たせればと思います。
   
自分から同心円上に視野を広げていくと見える風景も違ってきます。そして自分の周りの円を広げれば広げていくほど、その中に多くの人々が入っていきます。その人々と私たちは一つの「縁」で結ばれているとも言えるでしょう。この「縁」は図形の「円」ではなく、「ご縁がありまして」の縁です。円と縁、円が広がれば、縁も深くなる。言葉遊び以上の意味があるのではないでしょうか。神様、そしてドンボスコを「縁」として結ばれた多くの人々に心を馳せるようにしましょう。
  
最後に。さぁ皆さんにとっては夏休みです。毎年同じことを言いますが、普段やり残していることを深めてもいいですし、新ことにチャレンジしてみるのもいいでしょう。同心円を広げてみてください。
  
中学生は課題でどこかに出かける機会があるでしょう。高校1年、2年生は大学のオープンキャンパスにぜひ行ってみてください。予約制の大学もあります。私立は8月の1~5日に固まっているようです。よく計画を練ってください。私もオープンキャンパスに行ってみようと思っています。どこかで皆さんと会えるかもしれませんね。高3生は何と言っても受験に向けての夏休み。すぐに結果が目に見える形で現れなくても堅実に頑張ってください。何よりも皆さんには一緒に頑張っている仲間がいます!
  
それでは皆さんにとってこの夏休みが安全で意味のある充実したときでありますようお祈りいたします。