『谷神父様追悼の祈りの集い』より

 

本校の理事長、副校長であった谷聡史神父様を追悼する時間を特別に設けました。皆さんも一緒に谷神父様の魂のためにお祈りをしてください。

 

谷神父様が亡くなられたと聞いてびっくりしたと思いますが、私も皆さん同様まだ谷神父様が亡くなられたことが信じられません。健康は優れなかったのですが、それでも心の準備をする間もないあっという間の旅立ちでした。

 

谷神父様は年が開けてすぐに高熱を発し、川崎の聖マリアンナ医科大学病院に救急搬送されました。検査で新型コロナウィルス陽性と判定され、即入院となりました。入院中に心臓の機能が低下していることがわかり、それまで血圧が安定しないこと、動悸がすることなどの理由がようやくわかりました。心臓の手術の方法などを探っていたのですが、感染症のために体力が弱り、217日(金曜日)午前726分に亡くなりました。

 

実は谷神父様は健康がずっと優れませんでした。彼の日々は透析や安定しない血圧との戦いでした。皆さんも感じたかもしれませんが、修道院から朝学校に通うとき息苦しそうに歩いている姿、階段を昇り降りするにも息が切れてフーフー言っている姿を目にしたこともあるでしょう。

 

このように皆さんが目にした谷神父様は健康に苦しまれている谷神父様でしたが、若い頃はバリバリ仕事をされ、日本のサレジオ会の各学校でお仕事をされていました。

 

ここで谷神父様の生涯を振り返ってみましょう。

1951年生まれ。お父様 谷弘充(ひろみつ)様 、お母様 キヨ子様の長男として大阪市に生まれました。家族には弟さん均史さんがいらっしゃいます。

1980年サレジオ修道会に入会しました。その頃わたしは谷神父様と一緒に勉強したり、サッカーをしたり、教会で子どもたちの世話をしていました。

1991年に東京調布サレジオ新学院で司祭になられました。

 

以来学校で仕事をされてきました。

1992年4月~ 宮崎・日向学院中高

1995年4月~ 小平・サレジオ中学校

1995年4月~ 小平・東京サレジオ学園

2000年4月~ 大阪・大阪星光学院中高

2006年4月~ 宮崎・日向学院中高

2012年4月~ 大阪・大阪星光学院中高

 

年は前後しますが、神父になる前サレジオ高専でも化学と宗教を教えていらっしゃいました。

そんな中でも特に宮崎にある日向学院では6年間校長を務めて、さまざまな学校改革を行なっていらっしゃいました。

 

2014年よりサレジオ学院で副校長、理事長としての仕事をしてくださいました。先ほどもすぐれない健康の話をしましたが、皆さんの知っている谷神父様は健康がすぐれない中精一杯仕事をしている姿だと思ってください。

 

谷神父様の特徴は豊富な読書だと思います。専門の哲学・神学の本、もともと理系の出身だったため化学、生物学、農学関係の本も読まれていました。また栄養学、語学などの本も本棚に所狭しと並んでいました。修道院で食事をするとき、いろいろな話題を私たちに提供して、面白い話をしてくれました。

 

谷神父様は健康が許す間は中学1年生の宗教を教えてくださいましたが、最近は皆さんとは主に朝の話で色々なお話をしてくださっていました。谷神父様の話は飾らない語り口の中に、聖書、古今東西の哲学の話題に触れながらキリスト教的な価値観がはっきりと出ていました。

 

先日カトリック研究会で谷神父様の朝の話をホームページの中にたどり、そのいくつかの言葉を選びました。トイレにそれを掲示しているので皆さんも気付いたと思います。さりげない言葉ですが、本当のこと、正しいこと、考えるべきこと、自分の襟を正さないといけないと思わされることが書かれていますね。ぜひ谷神父さの言葉を心に留めておいてください。

 

亡くなった後、彼の部屋を整理しようと思って入った時、ベッドの傍らに「横浜ガイドブック」を見つけました。健康が許せば、好奇心の旺盛な谷神父様のことだから、いろいろな場所に行ってみたかったのかなぁ、健康がそれを許さず、辛い思いをして痛んだなぁと改めて悲しい気持ちになりました。

 

棺には彼の使っていた聖書、科学の本と一緒に、横浜ガイドブックも入れました。好奇心の旺盛な谷神父様、健康が許せばあちこちの名所を巡る旅もしたかったのだろうと思います。それも叶わず天国に旅立たれてしまいました。病気という大きな十字架を下ろし、天国への階段を軽やかに登っていった谷神父様だと思います。

 

神のみ前で、そして、生きている者と死んだ者を裁くため来られるイエス・キリストのみ前で、その出現とそのみ国を思いつつ、厳かに命じます。み言葉を宣べ伝えなさい。折りが良くても悪くても励みなさい。咎め、戒め、励ましなさい。忍耐強く、十分に教えるのです。あなたは、どんな場合にも身を慎み、苦しみを耐え忍び、福音宣教者の仕事に励み、自分の勤めを果たしなさい。

私は、戦いを立派に戦い抜き、決められた道を走り通し、信仰を守り抜きました。今や、義の栄冠を受けるばかりです。正しい審判者である主が、かの日にそれを私に授けてくださるのです。

 

テモテII 4;1~8