人はそれぞれ顔つきにしても体つきにしても違いがあり、生まれ育った環境や生い立ちも異なります。当然、生活の経験や才能にも自ずと差が生じるところから、各々の持ち味が生まれてきます。これを十人十色と言います。
 
人はそれぞれに違った味わいを持っているからこそ、私たちの生きている世界は豊かになり、また楽しくもあるのです。
  
ところが最近、どうも十人十色であることを許さない、あるいは十人十色であることを良しとしない風潮が生まれています。誰かが少しでも違った意見をのべたり異なった表現をしたりすると、仲間外れにされたり無視されたりします。だから自分も意に沿わないながらも他の仲間に合わせようとします。そうしていつの間にか自分の色を失い、個性を無くしていくのです。
  
十人十色がいつのまにか十人一色になっています。皆と一緒に同じ色になることが一番安心であり、一番重要なことになっているのです。
  
私たちの時代は実に短い周期で次々に流行が変わり、一瞬のうちにあらゆる情報が入ってきます。それが私たちの生活様式を様々に変えていきます。この傾向はますます進行していくことでしょう。そこで自分の色を失い自分の主張を無くしてしまったのでは結局、流行に流され情報に踊らされるだけの自分になりさがってしまいます。
  
他の人と違う自分の色合いを見つけるためにも、今学び考える時間が与えられています。十人一色ではない、十人十色の世界を楽しむためにも本当の自分を探してみましょう。