「権威に訴える論証」は、広告・宣伝・プロパガンダなどでよく使われる手法です。これは、ある主張や意見に説得力を持たせるため、その分野で権威のある人の発言を引用します。一般の人々は専門知識を持っていないので、「専門家が言っているから正しいに違いない」と、に容易に受け入れる傾向があります。しかし、専門家の意見が必ずしも正しいとは限らず、またその権威を利用して情報を誘導する人もいるでしょう。従って正確な情報かどうかを検証するだけでなく、情報が発信された背景や動機を考慮し、慎重な判断を下すことが大切です。

 

 

1940年代のタバコ広告の例ですが、「多くの医師がそのタバコを吸っている」というコピーを使って、まるで「タバコが健康に良い」様な印象を与えました。時代は変わりましたが、現在でも情報は様々に操作されています。ですから、あらゆる情報は「発信者にとって有益なもの」という原則を忘れないようにしましょう。私たちが、広告やメディアの発信する情報を受け取る際には、その情報が発信される背景や、それによって発生する利益の流れを考慮に入れ、「発信者の真の思惑」を見抜く力が必要になって来ます。

 

 

わたしたちの持つ価値観や信念は、外部からの情報に自然と影響されるものです。ですから、自身の意見や信念が本当に自分から出たものであるかどうか、繰り返し検証しましょう。気を付けないと、尤もらしい、しかし非人間的な価値観が、まるでトロイの木馬のように忍び込んでくるかも知れません。「わたしは大丈夫」と思いますか?しかし、あなたは素人、向こうはプロなのです。