江戸時代にカード(=トランプ)を紹介された日本人が「我が国にも『かるた』という良く似た遊びがある」と自慢したという話、聞いたことがあるでしょうか。アレンジが得意な日本人は、様々な分野でこの才能を発揮して来ました。

 

例えば、河馬という漢字。「河の馬」と書きますが、これ、見事な当て字だと思いませんか?カバの特徴が見事に表現されています。…しかし、ここで「言われれば…」と思った人は要注意。この「河馬」ですが、実は「カバ」という音に字を当てたものではありません。

 

カバは英語でhippopotamusですが、前半のhippoはギリシャ語で馬のこと。後半のpotamosは同じく川のこと。ほら、川の間の土地=メソポタミアの後半と一緒です。つまり河馬という漢字は当て字ではなく、本来の意味を漢字に置き換えた「意訳」なのです。このように、キチンとした文脈や背景を知らない人は、尤もらしい説明に引っ張られて、正しくないことでも信じ込んでしまいます。

 

近頃では、このようなもっともらしい言説を意識的に流すことで、知らず知らずのうちに人々の意識を変えて行こういう試みが、様々な分野で見られます。これはプロの仕事なので、当然、人々は気付きません。明確な証拠がないからです。

 

これからの時代、状況証拠から推論を重ねて本質に辿り着く能力を持てなければ、人は搾取の対象に成り兼ねません。自らの自由を守るためには、考える力を身につけなければなりません。