「『ルカ18章9~14節』の教え」

先日ニューヨークで開幕された国連気候行動サミットにおいて、環境活動家のグレタ・トゥンベリさんが行った演説が話題になりました。涙ながらに語る姿が感動的だったようで、多くの人が「すばらしい!」と発言していましたが、そのような賞賛のされ方に違和感を覚えた人、いませんか?

 

多くの人々に関わる複雑な問題の解決を目指すとき、「意見の違う人々と如何にして協力し合えるか」という点が極めて重要となってきます。お互いを尊重し合うところから出発し、より良い改善策を模索していくのはとても手間のかかる仕事ですから、当然、それなりの忍耐が要求されます。

 

一方「自分は完全に正しく、相手が絶対的に間違っている」と断じ、「絶対に許さない」などと憎悪を顕わにするのは超簡単。しかし当然、解決は遠ざかります。ついでに「今すぐに対処しなければ手遅れになる」という考え方にも注意しましょう。このような欺瞞は冷静さを失わせ、感情的で間違った判断を惹起します。

 

もしあなたに、何か主張したい意見があるのなら、正しい表現方法を吟味しましょう。全ての人を尊重し、人を傷つけるような表現方法を避け、真心が伝わるように忍耐強く・・・。表現方法を間違えて、主張の正当性を台無しにすることのないように。

 

今回の演説を「すばらしい」と手放しで賞賛してしまえば、その主張ばかりでなく「感情的・扇情的に人を断罪する表現方法」をも美化することになり、忍耐に対する価値観を見誤らせることになります。

 

是非、覚えておいて欲しい。「人を裁くことを放棄しても、正義を貫くことはできる」ということを。