2024年02月15日

2024年度のサレジオ会総長による年間目標について(1)

「夢」の意味——「神からのよびかけ」、「人間によるのぞみ」(個人の願望)、「共同体全体の目標」

 サレジオ家族全体の2024年度のストレンナ(おくりもの、年間目標)は「ドン・ボスコの夢、わたしたちの夢——9歳の夢から200年」です。この目標はサレジオ会総長のアンヘル・フェルナンデス・アルティメ枢機卿が私たちにプレゼントしてくれました。

 

 サレジオ会のローマ本部に住んでいる総長が使っている「夢」ということばには、少なくとも三種類の意味があります。まず、第一の意味としては「神からのよびかけ」です。次に、第二の意味としては「人間によるのぞみ」あるいは「個人の願望」です。さらに、第三の意味としては「共同体全体の目標」です。「夢」には「よびかけ」・「のぞみ」・「目標」という多様な意味がふくまれていることがわかります。

 

 まず「よびかけ」について。これは「神からのよびかけ」を意味します。古代人たちは、「夢」をみると、「神からのお告げだ!」と感じたみたいです。人間が眠っているときに、神が「夢」をとおしてよびかけてくる、という発想をヨーロッパの古代人たちがいだいていたのです。創世記に登場する宰相ヨセフ、マタイ福音書に登場するヨセフが代表例です。

 

次に、「のぞみ」について。これは、「人間ののぞみ」のことであり、あるいは「個人の願望」のことでもあります。ヨーロッパの古代が終わり中世の時代に入ってからは「夢」の意味を理解して解説する占いや夢判断の技術が発達しました。ところが迷信にふりまわされて、何が真実であるのかがわからなくなった中世の人びとのなかから冷静なまなざしで物事を見究める科学者たちが活躍するようになり、やがて人間だけの実力で世界を快適な居場所にすることを目指しました。そうなると、ヨーロッパ近世から近代にかけての人間の心の状況の研究も深まることになりました。このような心理学研究の流れをつくった専門家たちは「個人の願望が心の底にうずまいており、睡眠の際の無意識状態になると『夢』というイメージをとおして浮かびあがるのだ」と解釈するようになったのです。

 

さらに、「目標」について。これは「共同体全体の目標」を意味します。「神からのよびかけ」と「個人の願望」とが響き合って重なり合い、私たちの心の底に「召し出し」(召命、ヴォケーション)が芽生え、やがて「自分の使命」(果たすべき役割、ライフワーク)が明らかとなるのです。そのような個人的な使命感に共鳴する、まわりの仲間たちが目覚めて目標を共有するときに、世界に広がるサレジオ家族が成立したわけです。

 

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