2025年09月05日

吉田幸央さんのCD『ショパンの調べ』を聴く

今朝は吉田幸央さんのCD『ショパンの調べ』(CAFUAレコード、2025年4月16日)を紹介します。吉田さんは卒業生です。この学校の音楽の教員もされていました。

 

格調高く勇ましく、かつ繊細な、丁寧な演奏。見事です。おだやかに落ち着いて、心を込めて鍵盤を触れる両手から伝わる想いの深さ。サレジオ学院出身のピアニストが奏でる音の響きは、まさにショパンの再来。世界に向けて柔軟に開かれて色彩豊かでありながら、万感の想いを込めて、深みのあるメロディーを響かせる吉田さんの演奏は独特です。

 

とくに、2024年、新発見の「ワルツ イ短調」の演奏も興味深いです。そして「幻想即興曲」もまた新校訂版の楽譜を用いて演奏しています(ショパンによる元々の演奏を復興するように楽譜が見直されたわけです)。こうして、CDデビューの作品のなかで二つも意欲的な試みをされているから立派な成果です。全9曲は、まるで宝石のようなきらめきを放っています。優れた作品の完成、ほんとうにおめでとうございます!

 

しかも全9曲の意味についての演奏者本人による解説も詳しく書いてある小冊子つきですので、非常に助かります。吉田さんの演奏の意図が理解しやすくなるからです。聴き手のショパン理解を手助けする親切な姿勢がじゅうぶんに伝わってきます。常にまわりの人を大切にする「やさしさ」と同時に責任感のある姿勢が吉田さんの長所です。私は1994年に日本地理を彼の学年に教えたことがあり、水曜活動会をとおしてキリスト教のポイントを学ぶ集まりもつづけたので、彼の長所に感銘を覚えたのをなつかしく想い出しています。それでは、少し聴いてみましょう。