今日は「息」のお話です。今、息、呼吸というとなんだかどきっとしますね。人前ではマスクをして呼吸に気を付けるし、深呼吸もままならない。しかし息は命の証。そもそも「生きる」という言葉は「息」からくるそうですし、亡くなる時「息を引き取る」と言いますね。「息」と「命」は密接な関係にあるのはもっともなことです。

 

さて英語では「呼吸」はRespirationと言います。Respirationの語源はSpirare「息をする」というラテン語です。このラテン語spirareは様々な単語の語源として姿を見せます。例えばInspire「刺激を受ける」やその名詞形、inspirationインスピレーション「霊感」。

 

インスピレーションといえばエジソンの格言がありますね。Genius is 1 % inspiration, 99% perspiration. 「天才とは1%の霊感、閃きと99%の汗、努力である。」何と発汗perspirationにもspirareが入っています。生命活動としての発汗作法ですものね。しかし才能を悪い方向に使えば、Conspiracy「共謀」「悪巧み」となります。ここにもこっそり spirareが忍び込んでいて、「人の心」はいい方向にも悪い方向にも向かうものだと分かります。

 

ここで少し聖書の世界を掘り下げ見ましょう。聖書の世界でも息と命は密接です。旧約聖書のヘブライ語に「ルアハー」という単語がありますが、意味は息、命、風です。創世記の天地創造のシーンで神様は人間を土から作り鼻に息を吹き込み命を与えたとあります。ここで「ルアハー」が現れます。息は神様の命を表すわけで、人間は神によって命を与えられ、神の命に生かされているということが示されています。

 

聖書がギリシャ語に訳された時「ルアハー」は「プネウマ」に訳されました。プネウマは「息、風、命、霊」を意味します。実はこの「プネウマ」、ある英語の語源になっているんですよ。それはなんと肺炎、肺炎は英語でpneumoniaですが、前半のpneumは息、転じて肺、そして肺炎 pneumoniaとなったわけです。コロナウィルス感染症に関連してこの単語も覚えておいてください。

 

聖書がラテン語に訳された時「ルアハー」はラテン語spiritusと訳され、これが英語のspiritの語源となったわけです。キリスト教ではSpiritusは神の霊、神の息吹、聖霊を表します。Spiritusspirareの名詞形ですからやはり「息」と「命」の関係がここにもあります。キリスト教の神様は三位一体の神、Father, Son, and Holy Spirit、父と子と聖霊の神様です。

 

今度の日曜日は聖霊降臨のお祝い日、弟子たちにイエス様が聖霊を送り、弟子たちを宣教に派遣した、教会の誕生日をお祝いする日です。復活したイエス様は弟子たちに聖霊 holy Spiritを送ったということは、つまり神の命、霊が降る、とは神の望みに従って生きていくことができる力を与えられる。見事に天地創造のシーンと重なってくるわけです。

 

今日は「息」のお話でした。学校再開が待たれますが、これからも息の長〜い勉強をしていきましょう!

 

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