朝の話|榎本神父

2026年01月10日

サイクロイド曲線

 以前、数学の先生に教わった「サイクロイド曲線」のお話。物体が摩擦ゼロの坂を滑り落ちる時、最も早く地面に辿り着く曲線だそうです。不思議なことに、サイクロイド曲線を描く坂のどこから出発しても、同時に出発すれば同時にゴールします。ゴールするまでの時間は、出発する高さに左右されない。これを等時性と言います。

 サレ生であれば、イエスの「ぶどう園の農夫」のたとえを知っているでしょう。朝早く働きに出た人も、夕方になってから雇われた人も皆が同じ報酬を得る…あの話です。初めて読む人の大部分が、「不公平じゃね?」と疑問を抱く、あの話です。しかし、神さまと人間との関係や、神さまの考え方と人間の考え方との違いを学ぶには、とても適したたとえ話なのです。

 もちろん、サイクロイド曲線と人生の歩みとを一律に比べることはできません。しかし、人生において、たとえ今は人々の随分後ろを歩いていると感じたとしても、そのこと自体を過度に恐れる必要はありません。サイクロイド曲線は、「早く始めた者が必ず得をする世界」とは別に、同時に辿り着く、という逆転が起こりうる世界があることを示しています。大切なのは、どこから始めたかではなく、ゴールに向かって訥々と歩み続けること。途中で諦めてしまえば、同時にゴールできる可能性を自ら放棄してしまうことになります。

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