ある神学生がお寺を訪れ、仏教の考え方を学ぼうと思いました。予約を取り、お寺に向かうと、とても丁重にもてなされました。たくさん質問し、ひとしきりお話を聞いた後、僧侶はこう打ち明けます。「私はキリスト教が大嫌いだ。奇麗事ばかりで誰一人それを実践していない。」このエピソードは非常に耳が痛い。マハトマと呼ばれたガンディも「キリストは好きだがクリスチャンは嫌いだ」と言っていたのを思い出しました。

 

話は変わりますが、数年前に公開された『僕はイエス様が嫌い』という映画があります。わたしの大好きな映画です。ネタバレを避けますが、なぜイエス様が嫌いなのかというと、一言で言えば期待の裏返し。期待していた分だけ、裏切られた時のショックも大きく、また、少しでも信じていた自分に腹が立つものです。先のお坊さんも、ガンディも、そしてイエス様を嫌いなこの「少年」も、みな同じように期待を裏切られています。ところで、私はこの映画を見て「イエス様を嫌いな人々」が大好きになりました。彼らが人生をとても誠実に生きているからです。イエスさまだって、このように一生懸命生きている人々を愛さない訳がありません。

 

さて、話はまた最初のお坊さんに戻ります。彼は「キリスト教は嫌いだ」と言いながらも、神学生を見送るために山門まで赴き、深々と礼をしました。そして、神学生が何度振り返っても、いつまでも同じ姿勢を保ち続けていたそうです。人を尊重する態度の徹底性、めっちゃカッコイイですよね。見習いたいと思います。