人に「何をやっているの?」と聞かれて、何と答えますか?状況や相手の表情、声色などを考慮して「別に」とか「いや、チョッと」とか「ごめんなさい」とか…、つまり「何をしているか」という質問に直接回答していないケース、多くないですか。「行間を読む・空気を察する・忖度する」などのように「ことばで表現されていない部分」が重要になっている文化を “high context culture” と呼びます。コミュニケーションにおいて文脈が大きな役割を占める社会です。

 

ところが近年、「文章を字面通りにしか理解できない人々が増えている」という指摘があり、これを憂いている人もいるようです。確かに、みんなが理解できている中で一人だけ置いて行かれるような状況には辛いものがあるでしょう。しかし、このような人々がコミュニケーションを苦手としているとして、その原因は集団の特性にあるのかも知れません。low context=言葉で情報をしっかり伝え切ろうとする文化においてはそれほど問題にならないはずです。日本でコミュニケーションに苦手意識を持つ人こそ、より強いモチベーションで外国語学習に向かうべき理由がここにあります。

 

また、コミュニケーション能力に長けていて、国際社会に打って出るような人々は、日本のhigh context文化の枠組みを超えていかなければなりません。情報をキチンと言語化する訓練が必要です。空気を読めない人をからかったり、阿吽の呼吸に出遅れる人を責めたりする暇があったら、誰にでも確実に伝わる情報発信の技術を身につけるのが得策です。

 

確認しておきましょう。人を尊重することが、自分を高めることに直結しているということ。