朝の話|阿部神父

2026年06月18日

エジディオ・ヴィガノ総長による「一致のめぐみ」(Grazia di unità)

 1981年と82年、当時のサレジオ会総長エジディオ・ヴィガノ(Egidio Viganò)師が川崎サレジオ中学校・高等学校を訪問しました。そのとき、中学一年から中学二年にかけての多感な時期を過ごした仏教徒の私はカテキスタのチプリアニ師から呼び出されて、ちょうどローマから来日したヴィガノ師と握手して会話をするチャンスを計二回与えられました。気温の低い早朝に私の名前を憶えてくださった総長の親切なふるまいに感銘を受けました。今ではサレジオ会司祭になっている自分が何だか不思議です。

 なつかしい総長が書き遺した遺作の本をイタリアから取り寄せて、今読んでいます。『使徒的内面性——「一致の恵み」を牧者的な愛の源として』(L’interiorità apostolica. Riflessioni sulla “grazia di unità” come sorgente di carità pastorale)という本です。実は、サレジオ会の姉妹会の宮脇道子管区長様からヴィガノ師の思想について質問されたので本を探し当てました。

 総長の口癖は「Grazia di unità(一致の恵み)」でした。これはサレジオ会の生き方(霊性)の中心主題として、活動と祈りとの統合性を強調します。1988年に行われたアルゼンチンでの黙想指導の講話を基礎にし、1995年に出版され、2020年に再編集されました。

1.神に向かう生活(霊性)と活動の統一;祈り・共同体生活・使徒職がバラバラではなく、一つの源(神との一致)から流れ出るという理解のことです。活動中心になりがちなサレジオ会員に対し、内的統合の必要性を強調します。

2.神の愛の働き(聖霊)による統一の働き;聖霊が人間の心の内側を統一し、使命を自覚させます。「一致の恵み」は人間の努力ではなく、神の恵みとして受け取るものです。

3.ドン・ボスコらしい活動(カリスマ)の核心;ドン・ボスコは多忙な活動のなかでも、神との深い一致を保ちました。

4.自分を捧げる生き方(奉献生活)の危機への応答;1965年に終了した第二バチカン公会議の後の時代の混乱のなかで、自分らしさ(アイデンティティ)の喪失を防ぐための指針が明らかになりました。「一致の恵み」が、自分を捧げる者(奉献者)の使命・約束・共同体生活を再び一つにまとめます。

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