朝の話|阿部神父
2025年11月27日
ジュール・ベルヌ『海底二万里』から庵野秀明『NADIA』へ
1978年、小学3年生の時に上野毛の書店でジュール・ベルヌの『海底二万里』という物語を購入しました。毎日、小学校に持って行き、家でも寝転がって読み返しました。学校の授業や家での勉強はそっちのけで、ひたすら冒険の世界に没入しました。潜水艦が海の底深くもぐって探検する物語なのですが、船長と部下たちとの絆や連携による危機からの脱出など、手に汗を握る愉しさが満載された内容でした。男子は冒険ものが好きです。
2025年7月30日、庵野秀明監督のDVD『NADIA』を初めて観ました。1990年から91年にかけてNHKで放映された全39話のアニメーション作品です。初放映から35周年の古い作品ですが、決して色あせない力作でした。ベルヌの『海底二万里』の世界観を見事に引き継いで、未来の世界を正確に描いていて、驚嘆させられました。19世紀から20世紀に向かう世紀末の時期のパリ万博から始まり、しかもアトランティス大陸やアフリカ大陸や無人島生活の話題や宇宙戦争も盛り込まれており、神話世界から近未来のコンピュータAIの技術まで幅広い出来事が先取りされていました。しかも世界観としては宮崎駿監督の『未来少年コナン』や『天空の城ラピュタ』とも共通性があります。
ともかく、『海底二万里』の発展した作品が『NADIA』なので、1978年の『海底二万里』の読書経験から『NADIA』のDVDの初めての鑑賞の2025年まで一気に47年の時の流れが結びつきました。つまり今年の夏休みは47年分の時の流れの冒険(タイムトラベル)をしたことになります。しかも『NADIA』では敵がチームの一員となり、大人たちが子どもたちを支えて様々な危機を一緒に乗り越えてゆく連帯が描かれており、子どもたちの人生の学びの積み重ねが丁寧に描かれていました。また男女の感情の機微を大人が子どもと一緒に学ぶ場面も盛り込まれていたので、制作陣の脚本づくりも見事でした。一緒に生きる教育の方法が見えてきたので、その点はドン・ボスコの「子どもと一緒に生きる教育方針」と重なっていました。


※ジュール・ベルヌ(A・ド・ヌヴィル画、清水正和訳)『海底二万里』福音館書店、1972年。/DVD『NADIA;The Secret of Blue Water』Gkids Films, 2022年。/NHKエンタープライズ監修『ふしぎの海のナディアNADIA;The Secret of Blue Water≪公式記録集≫』グラウンドワークス、2023年。