2025年06月24日
夜空に想う(定光副校長)
最近、夜空を見上げると、人工衛星の多さに驚かされます。子どもの頃は、どんなに長く夜空を眺めていても、人工衛星を見つけることはほとんどありませんでした。しかし今では、驚くほど簡単に、しかも頻繁に見つけることができます。星座の輝きを背景に、一定の軌道を正確に描くその光は、まるで天空を横切る銀河鉄道のようで、見る人にロマンを感じさせてくれます。
それとは対照的に、一瞬の光の筋でその軌跡を見せてくれるのが流星です。調べてみると、流れ星は「地球の大気に 数十キロメートル毎秒 の猛スピードで突入し、上層大気の分子と衝突して、摩擦によってプラズマ化し発光する」とあります。通常、流れ星は地上 150kmから100km ほどの高さで光り始め、70kmから50km あたりで消えていくのだそうです。彼らは一体どれほどの歳月をかけて、はるばるこの地球にたどり着くのでしょうか。
昨年しし座流星群を見て以来、私にとって星空を眺めることが一つの楽しみとなりました。冬であればオリオン座、今の季節なら北斗七星など、代表的な星座は街中でも簡単に見つけることができます。しかし、それ以外の星々は、街明かりに埋もれ、残念ながら見ることができません。けれど、街灯のない場所に出て、夜空を見上げると、そこには無数の星が広がっています。「こんなにもたくさんの星があったのか」と、改めて気づかされます。
星にはそれぞれ独特の色合いと温もり、揺らぎがあり――まるで命を宿しているかのようです。見つめていると、「星の王子さま」が教えてくれたように、星を眺めることが好きになり、星がみんな笑っているかのように見えてくるのです。
私たちの住む地球は「宇宙船地球号」とも呼ばれ、広大な宇宙の中で、奇跡的なバランスの上に成り立っています。宇宙ステーションから送られてくる地球の映像は、青く輝き、とても美しく、生命を育むことができる「ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)」内に位置し、太陽系で生命が確認されている、唯一の星だといわれています。その唯一無二の存在は、絶妙な条件の重なりによって存在しているのです。
同様に、地球上における私たち一人ひとりの存在も、決して偶然ではなく、奇跡と神秘的な条件が重なった結果です。そして、私たちはたまたま同じ場に居合わせているのではなく、数えきれない奇跡の連なりによって、今この場に集っています。
それぞれが唯一無二の個性と才能を持ち、サレジオという共同体を形作っています。誰一人として、欠けてよい人はおらず、誰かの代わりになれる人もいません。一人ひとりが自分の役割を果たし、お互いの不足を補い合い、支え合っています。すべての人に存在理由があり、それぞれの「召命」を生きるために、今ここに呼ばれているのです。
さて、7月7日は七夕です。もし晴れていれば、ぜひ夜空を見上げてみてください。大宇宙の営みの中で、厳然として神秘的な星々の輝きに心を打たれ、畏敬と感動、そして感謝の気持ちが自然と湧き出てくるかもしれません。
旧約聖書のダニエル書には、次のような一節があります。「太陽と月は神を賛美し、空の星は神を讃えよ。」