2025年05月29日
自然環境の尊さから学んだアントニ・ガウディ——神の創造のわざに沿う建築
先日、スペインの建築家で熱心なカトリック信徒のアントニ・ガウディ(1852-1926年)が教皇庁から「尊者」の称号(聖人の第一歩)を授与されたことが報道されました。
ガウディには幼い頃からリュウマチで苦しみました。手足の関節の炎症です。膝や足首や両肩や腕の関節が固くなって、動くたび激しい痛みが続きます。それで彼は小学校にも通えません。銅細工職人の父親が家でガウディを教育しました。少年は毎日勉強を終えると家の庭や近所の野原に出向いて座ったまま過ごしました。ガウディは毎日、草や花や大きな樹や虫や空の雲の流れを観察しました。こうして自然環境の尊さを学びました。あらゆる生きものには曲線が見えました。自然界には直線状態がありません。しかしすべては黄金比で美しいバランスを保ちます。人間の智慧をはるかに超えた創造主がいることにガウディは目覚め、神に祈るようになりました。建築家になってからのガウディは幼い頃に発見した自然界の曲線の不思議さを建築に採り入れました。彼の建築は全部曲線で構成されます。ガウディは自然界の形を真似して、自分の建築を神の創造のわざに重ねました。
現在の建築物は全部四角い箱型です。人工的な直線で構成されます。すべての長さや重さが均質化され、機材を揃えるのが便利になり、運搬も楽です。しかも現場の職人も作業しやすくなります。皆さんの教室も直線で構成されています。しかし人工的な直線状態は自然界の曲線の美しさとは真逆です。神による創造のわざに沿わない人間の御都合主義の企画にはめこまれています。それで私たちは現在の建築様式の建物で過ごすことそのもので神に反逆して生きており、不自然な環境を当たり前だと勘違いします。自然の豊かさを無視して、狭い了見で生きているとストレスも生じます。大勢の人々が夏に山や海にキャンプのため出かけるのは、もしかしたら自然界の心休まる環境に浸るためなのかもしれません。ガウディのサグラダ・ファミリア大聖堂の内部を見ると樹々がうっそうと茂る森のように感じます。森のなかを散歩して自然界の曲線の美しさに感動して創造主である神をほめたたえるふるさとが、彼が理想とした祈りの家だったのです。