朝の話|榎本神父
2026年02月07日
ハードル調整
人は過去を反省するとき、現在の自分、つまり少し成長し、余裕のある自分の視点で振り返ります。ですから、「あの時、こうできたはずなのに」と、足りなかった点はいくらでも指摘できる。でもそれは、今の自分が当時の自分より有利な場所から見ているというだけのこと。フェアではありません。もちろん、過去を振り返り、改善のヒントを将来に活かすことは大切ですが、実はそこにも別の落とし穴があります。多くの人は、過去の「ダメな自分」を分析したときと同じ過ちを、「未来の自分」に対してもやってしまうのです。
実は、未来の自分もそれほど「できる男」ではありません。疲れていたり、怒っていたり、余裕がなければ、「今ここで考えている自分」より、分析力・意志力・判断力はかなり下がります。人が最高のポテンシャルを発揮できるのは、1日の2〜3割程度だという研究もある。それなのに私たちは、「エネルギッシュな今の自分」の感覚で、「余裕のない未来の自分」に計画を手渡そうとする。「目標は高い方が良い」という言葉の意味を履き違え、過大な重荷を自分に背負わせる。それを実現できないのは、根性の問題ではありません。設計の段階で間違っているだけなのです。
大切なのは、未来の自分を過信しないこと。さまざまな困難を想定し、「潜在能力を十分には発揮できない自分」を前提にプランを立てることです。弱った自分でも歩いていける設計。その第一歩として、まずは環境を整える。たとえば、時間指定でスマホの通知を切る。…それくらいであれば、今、決断してもいいかもしれません。
