朝の話|阿部神父

2026年06月25日

「アゼルバイジャン」について——日本への尊敬と生き残り戦略の伝授

 日本を尊敬するアリベイ・マムマドフによる『アゼルバイジャンという戦略』(ロングセラーズ、2026年)という本を読みました。旧ソビエト連邦が崩壊してからの混乱期に独立したアゼルバイジャンの資源・外交・軍事・文化を総動員した国家の再構築のプロセスを紹介します。小さな民族の活動が、いかにして国家の復活を実現させたのかが見事に描かれます。本書は、小さな国が大きな国々に囲まれた窮屈な環境のもとで、いかにして生き残れたのかを著者の実際の経験にもとづいてまとめます。
 

 アリベイ・マムマドフはバクー出身であり、バクー国立大学で日本語と日本文化を研究し、軍隊生活を経て、JICAや日本大使館での仕事をこなし、2012年に日本政府の国費留学生として北海道大学大学院にて国際政治の研究を続け、国際交流や講演を幅広くこなしています。彼はアゼルバイジャンのワインを日本に紹介し、良質な土地のめぐみとしてのワインを日本に輸入することで国際交流のきっかけづくりを推進します。アリベイは国家運営とビジネス戦略とが重なることを強調します。その極意を彼は日本人にも伝えます。
 

 アリベイは、たとえ小さな国でも、周到な戦略を組み立てることで、大きな国に対抗して生き残ることができると考えます。彼は以下の四点をアゼルバイジャンの国家戦略としてまとめます。①土地の意味を理解した戦略;現在のアゼルバイジャンは、ロシア、イラン、トルコなどに取り囲まれていますが、どの大国にも頼らずに自給自足の食糧生産を確保しており、巧みな外交手腕で全体のバランスを保っています。②資源外交の展開;石油やガスを精製する技術を活かして他の国にも資源を輸出することで経済的にも政治的にも強い影響をおよぼしています。③軍事的な対応力;国家が軍人の教育や外交政策の工夫を専門的に研究する指導的な立場を明確にしています。④文化交流や民間外交の奨励;アゼルバイジャン特産のワインを世界中に輸出することで独自の文化の味わいを幅広く伝えるとともに経済的な富を得て国家の繁栄と同時に相手国への尊敬を表明します。
 

 相手を尊敬して、経験にもとづいた生き残り戦略を紹介することで相手のしあわせを願う寛大な姿勢で国際交流を推進するアリベイの誠実な姿勢はワイン・ビジネスという具体的な「おいしさ」によって広がりつつあります。「味わい」こそが、戦略の土台なのです。

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